集英社コバルトシリーズ

今日の昼過ぎ、BSプレミアムで『野菊の墓』を放映していたのでなんとなく見ていました。

 

1981年の映画ということですから松田聖子が十代だったころに作られたアイドル映画のひとつと思いながら見ていましたが、主演二人の演技のみずみずしさも含め、作り方がとても丁寧であったため、いわゆるアイドル映画という感じは一切しませんでした。

 

 野菊の墓』は原作となった小説が発表されたのが明治39年(1906年)ということですから、まだ夏目漱石森鴎外が生きていた頃の作品ということになります。調べてみたら『野菊の墓』の作者、伊藤左千夫が亡くなったのが1913年とありましたから、今年は没後105年ということになるのですね。

 

映画に話を戻します。私は今日、この映画のエンドロールを見ながら「あっ」と声を出しそうになってしまいました。というのも、次のように書いてあったからです。

 

原作 伊藤左千夫

   「野菊の墓

   集英社コバルトシリーズ

 

私が『野菊の墓』を読んだのは、たしか岩波文庫でした。だからかもしれませんが、集英社ならばコバルトシリーズではなく集英社文庫のほうが妥当のような気がしていました。『野菊の墓』が当時、少女向けの集英社コバルトシリーズの一冊として扱われ、読まれていたいうのがちょっと意外な気がしました。(※1991年以降は集英社文庫として出版されているようです)

 

私は昔「小説ジュニア」や、その後継雑誌の「コバルト」を読んでいたこともあり、コバルトシリーズとの親和性はかなり高いほうだと思っています。後には雑誌では読まなくなり、文庫化されてから読むようになりましたが、そのころ読んで今でも印象に残っているのは氷室冴子の『なんて素敵にジャパネスク』シリーズや『ざ・ちぇんじ!』『恋する女たち藤本ひとみの『まんが家マリナ』シリーズあたりでしょうか。そんな私も今野緒雪の『マリア様がみてる』シリーズが始まった頃にはコバルトシリーズをなんとなく「卒業」していました。

 

今思い出すと、「小説ジュニア」を読んでいた頃は吉田としという人の作品がいちばん好きだったのですが、Wikipediaで調べたら、この方、1988年に亡くなったとのことでした。知りませんでした。今年がちょうど没後30年ということになるのですね。

 

Amazonで検索してみたら、吉田としの作品は現在すべて絶版のようで、しかも電子書籍化された作品もないようです。ちょっと残念な気持ちになりました。

 

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野菊の墓 (集英社文庫)

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恋する女たち (集英社コバルト文庫)

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